岩手県和賀郡西和賀町沢内鍵飯19地割。志賀来山の西。
水が流れ落ちている岩肌に大小7つの穴があいていることから七ツ釜と呼ばれているようです。現在は底の浅い岩穴となっていますが昔は底が見えないほど深かったと言われています。
和賀川に注いでいます。下から写真を撮っている方がいるようですが、私には難しい気がしたので断念。
西和賀広報誌(2020Vol.178-地域おこし協力隊成田紫野)より。
『新街村東岩窓沢の坼く処瀑布泉有り。高さ十仞許り、二段の巌上七竅有り。土人相伝えて七釜と名づく―――。「沢内風土記」にも名の見える景勝の淵にやって来た。東岩窓戸の水音をたどり、橋のたもとの急斜面をおっかなびっくり下ってみる。岩肌をなめて走る沢水の溜まりにクレーターじみた穴が2つ3つ4つ、あるいは水鳥の翼があれば7つの穴の所在も確かめられようが、人間の私は落ちないよう岸にしがみつくので精一杯。小川の水はやがて一条の滝となり、和賀川に降り注ぐ。川底に、7つの穴で七ツ釜。この地には古来より奇妙な言い伝えが多く残されている。淵深く沈めた糠樽が湯本の山室橋で見つかり、真夏の滝つぼには豊艶な肉体の美女が現れる。その昔、淵の水は今よりもずっと深く豊かで、四時水が尽きることがなかったという。伝説は深い淵より湧きいでて、年経てもなお、人々の語りの中にその姿をとどめている。七ツ釜にまつわる思い出を語ってくれたのは、飯豊集落の刈田武久さん(鍵飯・79歳)。川で泳いで遊んだり、水の削った小さな穴を「馬の足跡」と呼んでみたり、霊妙怪奇の仙女の淵は人々の憩いの場でもあった。水は暮らしを潤し、暮らしは無数の物語を生む。流れる水が運ぶものは、なにも砂と泥ばかりではないのだ。【文化財担当に聞いてみた】Q七ツ釜にまつわる伝説について詳しく教えてください。A毎年、真夏の頃になると、滝つぼの近くの岩の上で豊艶な肉体美の女神が髪を洗っている姿を見かけることがあったそうです。七ツ釜のそばに立つ滝上神社の境内から木々のこずえ越しにその姿を目撃した若者が、人を呼んで引き返してみると女神はすでに姿を消していたという言い伝えが残っています。女神の姿を見た女性の子どもは皆、美人に育ったため「飯豊集落は美人の出どころ」として今でも語り草になっているそうです。女神にまつわる伝説のほかにも、日照り続きで水喧嘩が起きるような年には、戸ごとに神酒を持ち寄って、うたげを開き雨乞いをしたという話が伝わっており、飯豊集落の人々にとって七ツ釜は暮らしと深く結びついた身近な存在であったことが分かります。』
すぐ横には瀧上神社(滝上神社)が鎮座しています。
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