
青森県黒石市山形町。真言宗醍醐派愛宕山地蔵院。本尊勝軍地蔵菩薩。開山日蔵。

津軽弘法大師霊場第二十番。津軽七福神の恵比寿天奉安所。通称愛宕様の宵宮の夜には毎年恒例の行事として火生三昧が行われます。真言宗は役の行者にはじまり、山伏修業・加持祈祷を特徴としますが、津軽では大行院(天満宮・西茂森)開山永尊が正保元年に修験の惣司となっています。

境内案内板「市指定民俗文化財黒石よされ元踊」(指定年月日:昭和57年11月4日、保持団体:黒石よされ振興協議会)より…『〇沿革・由来…黒石よされは、「盆には仕事をよしなされ、そして楽しく踊りなされ」に語源を発するとされ、盆踊りの男女の"恋の掛け合い唄"だといわれている。その踊りの基礎となっているのが"元踊り"である。〇よされ発祥の地…「踊り踊るなら愛宕の庭で…」の歌詞どおり、よされ発祥の地である。〇由緒…津軽為信が慶長7年(1602)戦勝を祈願し、高賀野に愛宕大権現を勧請。承応3年(1654)現在地へ。元禄10年(1697)黒石領主の祈願所に。当時の境内三千坪余。開山は日蔵。平成2年3月黒石市教育委員会』

手水舎。

身代地蔵尊。


身代地蔵尊前の松の脇にある庚申塔(天保3辛辰年9月17日※天保3年=壬辰)。

庚申塔裏にあった地蔵尊。


創立は未詳ですが、国誌では地蔵堂は「承応三年甲午津軽土佐守(信義)の建立となり」としています。黒石津軽家の保護を受けました。黒石領主2代信敏、9代信邦、11代承叙から堂宇の修復を加えられ、3代政兕からは祈願所とされ祈祷料を賜っています。もと修験の寺であり、津軽領内の山伏を統轄する弘前の大行院の配下にありましたが、明治4年の修験道廃止の後に現宗派に属しました。盆踊りの黒石よされの古い歌に「なじみきめらば愛宕の庭よ、かたくきらめばお堂のかげ」とうたわれています。江戸期のよされ踊りは盆の3日間町中を流し踊り、当院で終わったといいます。

石灯籠一対(弘化4丁未年3月28日、施主:三河屋忠吉)


公式サイトより…『古くは京都三宝院末の修験道であったが、修験廃止により真言宗となり、醍醐派に属す。本尊勝軍地蔵尊を安置する。承応三年(一六五四)、津軽土佐守が創建、開基は日蔵という。信英公(黒石初代藩主)が弘前より分知となり、その後元禄十年に黒石三代領主津軽政兜(まさたか)公が寺禄三十石を下賜、津軽黒石藩代々の祈願所となる。慶長年間津軽為信公が浅瀬石山上(黒石)に愛宕宮を創建、勝軍地蔵尊を勧請する。そのころ地蔵院は愛宕権現といわれていた。のちに浅瀬石山上より現在の岩木町愛宕山橋雲寺に遷座のおり、本尊を寄進されたといわれている。当時の境内は三千坪余りあったと言われる。普賢菩薩も合祀(ごうし)されており、辰(たつ)年・巳(み)年生まれの一代守り本尊として、近郷一円の多くの人々の信仰を集めている。昭和四十六年、不慮の火災により、本堂ならびに本尊、寺宝の為信公真筆の勝軍地蔵菩薩の画幅など、ことごとく灰燼に帰したが、翌四十七年、仮本堂を建て今日に至っている。津軽弘法大師霊場第二十番札所、また津軽七福神霊場「えびす」奉安所としても知られている。また黒石の盆おどり「黒石よされ」元踊りは藩制時代、地蔵院の境内で踊られ、「盆には仕事をよしなされ、そして楽しく踊りなされ」に語源を発するとされ、盆踊りの男女の“恋の掛け合い唄”だといわれている。その踊りの礎となっているのが“元踊り”である。よされ発祥の地「踊り踊るなら愛宕の庭で・・・」その発祥の地となっている。』

由緒につきましては過去の記事も参照ください。
過去の記事

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『津軽七福神巡り』

水子地蔵尊。

恵比寿天奉安所。


祭祀恵比須天・津軽七福神霊場。

中央には弘法大師、向かって右に恵比須天。
松。

こちらは…

不明。火性三昧に関係するもの!?

本堂。


愛宕神社(京都)は中世から勝軍地蔵で信仰され、江戸時代からは本地垂迹説の迦具土神が火の神であることから鎮火の神として勧請されるようになります。津軽為信が祐海の勧めで慶長7年に浅瀬石に勧請。後に植田村に移して橋雲寺を別当とします。三代藩主信義が承応3年に浅瀬石から黒石へ移し、三代津軽政兕の元禄10年から祈願所とされました。暮には星祭りが行われ、境内での盆踊りは近在からの人々で賑わいを見せるそうです。明治12年に境内を開削して浅瀬石とを結ぶ新道が造られたことから、墓地は道を隔てた西側に位置。昭和46年の火災によって記録類が焼失しています。


本堂内。
故大道寺繁充君紀念碑銘(維持明治廿年有一年七十八翁暉山書)※碑文省略。読み取れる状態です。

長谷川美海歌碑(大正15年3月15日)

「いにしへも今もかはらぬ神々を祈らぬ人は世になかりけり 美海」

「奉供養青面金剛童子寶塔」(高さ約88cm、幅約33cm、厚さ約41cm)


「諸行無常是生滅法」

「生滅々為寂滅為楽」

「佐々木定次良 岡村綱五郎 吉屋徳蔵」

「嘉永七甲寅天八月二十四日工藤長八 加藤七之丈」

「倉嶋惣助 佐藤卯之助 工藤長次郎 櫻庭多吉 講中敬白」

おまけ。

かき氷の幟に魅かれて近くのお店へ。

夜は「酒飲み処もつけだんぶり」という居酒屋さんのようです。店内には野良猫のシロがいます。かき氷300円!!ごちそうさまでした。



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