大館市比内町扇田長坂。これまで大館カントリークラブ内にある神社かと思っていたのですが、米代川沿いにてたまたま社号標を発見。大館カントリークラブ内じゃなかったのですね。そして本殿は線路を越えて林の中の参道を登った先にあるとの情報も得ました。
扇田村についてですが、戦国期に見える村名で、はじめ陸奥国比内郡のうち、秋田氏領となり出羽国秋田郡に所属。「浅利則頼侍分限帳写」に浅利家の小姓佐藤与三郎は扇田村、歩行頭の斎川甚右衛門は長岡に居住と記載。永禄年間頃に独鈷城主浅利勝頼は当村に長岡城を築城し片山駿河守某を置きましたが、天正10年檜山城主安東愛季に内応した片山氏らは当城で主君勝頼を謀殺したと伝えられます。城は米代川・犀川に挾まれた独立丘陵を利用し、周囲に帯郭がめぐり、西端部に三角形状の腰部を配置。犀川に注ぐ小川を濠に利用。館神は八幡。郭から土師器・須恵器及び中世後期の陶器が出土。天正19年正月17日豊臣秀吉が秋田実季の当知行を安堵した朱印状写では「おきた田・山館村」191石余と記載。しかし当村を含む比内地方の宰領は浅利頼平(久義)に委ねられており、頼平は同年7月20日片山弥伝(彦四郎)に「扇田之肝煎」を約束しています。慶長2年頼平が豊臣方に報告した村数覚書には「あふき田村」は田畑いっさいなく、「町ばかり家六十」とあります。秋田家の保護を受けた城下町としての機能のほか、米代川舟運の舟着場、鹿角・大葛への陸上交通路の要地、二井田を経て綴子方面に抜ける脇街道の起点でもあるという条件のもとに大きな町場が形成されていた様子を伝えます。八幡町・伊勢町・新町・大町・中町などの小字が残ります。「慶長6年秋田家分限帳」では当村72石余は秋田家蔵入地に指定され代官支配となっています。これが当時の当村認定石高と推定。なお、近世に山本郡梅林寺境内から発掘された墓棺に「扇田住浅利勘兵衛則章十八歳于時応仁戊子九月二十日」と墨書されていたといいます。江戸期以降の扇田村は出羽国秋田郡南比内のうち。秋田藩領。名称・領域とも中世村落を継承。慶長7年の佐竹入部に際して、浅利旧臣川口六右衛門らが当村に拠って一揆を起こしましたが鎮圧され、十二所所預の管轄下に置かれました。一部は大館給人知行地。元和3年大館給人に「あふき田のうち」の開発を許可した指紙が現存。「天保国絵図」「元禄7郡絵図」ともに430石の村として図示。17世紀末に確立された親郷制では、当村は独鈷・八木橋村など比内16か村の寄郷を差配する親郷となります。新田開発も順調に進み「享保黒印高帳」では村高698石余・当高659石余(うち本田413・本田並29・新田219)、「寛政村附帳」では当高540石余(すべて蔵分)と認定。「天保郷帳」は659石余。秋田旧臣大高十郎右衛門は当村に居住し、孫の代に当村の大規模開発に成功したといいます。戸数は「享保郡邑記」で90軒、安政年間で359軒・1,580人・馬202頭。水陸交通の要衝を占める位置づけは藩政下でもいっそう強められ、陸路は鹿角街道・大葛金山街道等の羽州街道脇の結節点として、水路では米代川廻船の拠点として宿駅・船宿が置かれ、三斎市を開催、物資の集散地として活気を呈します。枝郷宿内村の民家は町場に移住し、延宝5年開村の市川村も町場の発展につれてその一画を占め神楽町と称します。馬産、酒造も盛んで、寛文9年には馬頭が置かれ馬市開始、享保11年には17家が酒屋株を持ち、大坂屋等上方商人の宿名も見られます。慶応4年(明治元年)の戊辰戦争では全域が戦場となり村内は灰燼に帰します。鎮守の神明社は市神も合祀。ほかに稲荷社・八幡社・相善社を祀ります。寺院は当村の有徳人小林徳兵衛が檀徒として開基したという浄土真宗大谷派小林山徳栄寺をはじめ、同派藤庭山長泉寺、曹洞宗薬王山寿仙寺(泉村天徳寺末寺)、浄土宗法王山正覚寺(下野国大沢村円通寺末寺)、日蓮宗安入山寂光院(大館町蓮荘寺末寺)の5か寺、修験に扇田寺・本覚寺・南光院がありました。明治10年の村勢は戸数472・人口2,121・馬194頭、田64町余・畑25町余。明治7年扇田学校開校、同19年扇田郵便局開局。明治11年北秋田郡に所属。明治22年以後も独立村として存続。同29年町制を施行。昭和30年からは比内町の大字名。比内町の政治・経済・文化の中枢となります。
この一対の社号標は令和4年5月吉日とかなり新しいもの。
参道石段。
石段の先は情報通り踏切。
しかし「線路内に入らないでください。」
線路の先にも看板があるので参道が続いているんでしょうが、どうみても草木が凄くて歩けるような状態に見えませんでした。
ってことで私はここで終了でございます。
扇田神明社の御祭神でもある八頭龍神を祀っている社かと思います。
気を取り直して…
何度も紹介している「道の駅ひない」の比内地鶏ラーメン&十割そば大盛。
&比内地鶏卵ソフトクリーム。参拝できずとも満腹。
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