北津軽郡板柳町掛落林宮本。掛落林（かけおちばやし）は古くは「くらのばやし」・「からばやし」とも読んだようです。陸奥国津軽郡村仮名付帳には「クワラノハヤシ」とあります。岩木川の中流右岸に位置。地名の由来についてですが、伝承によりますと旅僧が掛絡（法衣）を桑の木に掛けて用をたしたことによるといいます（板柳町郷土史）。江戸期以降の掛落林村は津軽郡田舎庄のうち、弘前藩領。寛永18年、千葉治右衛門が小知行派として開発し21軒を取立てたといいます。技村に竹田村・小幡村がありましたが、享保11年にそれぞれ分村。村高は「正保高帳」122石余、「寛文高辻帳」1,106石余，「貞享4年検地水帳」では枝村の竹田村・小幡村分を除いて842石余（田753石余・畑屋敷87石余）、「寛保高辻帳」1,106石余、「天保郷帳」526石余、「旧高旧領」では欠落林村と見え917石余。「慶安2年道筋帳」によりますと、村内を羽州街道の脇道が通っており板屋野木村までの距離は10町20間。「貞享4年検地水帳」によりますと、小字に「鶴ケ池・柳川・前田・宮本」がみえ、反別は田72町余・畑屋敷15町1反余（うち屋敷地1反余）。他に永荒田・土取場・沼・河原・水除堤などがあり漆木は265本。元禄3年には広須組に属しており村位は中。宝暦7年には赤田組に属しました。文政2年の卯年書上之表によりますと人口133。天保年間には枝川母堰の水下に編成。慶応年間に外崎久吉が寺子屋を開設しています。神社としては安政2年神社書上帳に飛竜宮がみえ、正保3年の創立とされます。明治4年弘前県を経て青森県に所属。同11年北津軽郡に属します。明治初年の戸数53。同6年飛竜宮を稲荷神社と改めて海童神社に合祀するも同8年に復社しています。同12年欠落林小学を開設。同年の教員数男1、生徒数男23。同年の「共武政表」によりますと戸数56・人口361（男192・女169）、馬27、物産は米。同22年板屋野木村の大字となっています。
その他、由緒等については過去の記事も参照ください。
社号標（明治39年旧8月10日）
石工小坂金四郎。その横の文字は私には読めませんでした。
また、社号標の横の文字は消されていました。
二之鳥居。
この両部鳥居に鬼コがいます。
十数年前と全然変わっていません。
フレンチブルドッグの印象も変わりません。
三之鳥居。鬼コがいる二之鳥居だけ両部鳥居です。
参道。
手水石（初老記念、昭和14年4月10日）
石灯籠一対（大正8年8月15日、村中建之）
狛犬一対（大正3年旧7月、東旭川、小澤松太郎）
社殿。
拝殿向拝。
神額「稲荷神社」（昭和47年正月、金婚、齊藤佐太郎・かち）
幣殿・本殿。
社殿前の一対の巨木。
そのうちの1本のサイカチ（樹齢300年、樹高約8m、幹周り4m48cm）
サイカチ…『掛落林は、正保2年（1645）の「津軽知行高之帳」に石高122石5斗5升とあり、寛永年間（1624～1643）に拓かれたと考えられる。寛永20年（1643）勧請の観音堂（現稲荷神社）の境内に生えるサイカチの主幹は、地上5メートルの所まで空洞である。マメ科に属するサイカチの実は石けんの代用や、漢方薬として利用されることがある。』
上記では正保3年（1646）の創立と紹介しましたが、こちらの標柱では寛永20年（1643）であり、僅かに違いがあります。
境内社鳥居。
御神馬。
昭和31年旧2月17日村中一同建立、弘前市撫牛子、桜庭石彫䖏。発起人：斉藤勘助、外﨑松太郎、神成義雄。
何かはわかりませんでした。馬に関連するのかな。
申田彦太神（文政5壬午年8月19日）
こちらは崩壊していて不明。
甲子塚（明治40年旧6月4日）
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