
弘前市坂元字山元一。真言宗智山派護國山観音院久渡寺。

久渡寺本尊聖観世音菩薩、正當三十三年ご開帳。

昨年の予定が新型コロナウイルス感染拡大により延期されていたため、拝観券も令和2年のままになっていました。

由緒等は以前の記事を参照ください。

『久渡寺山登山』

ってことで上まで来ました。本堂まで198段、観音堂まで227段。
観音堂へ。聖観音の起源は延暦年間、阿闍羅三山坊(さんぜんぼう)の一つとして建立された補陀洛寺(興国寺)に遡り、坂上田村麻呂が建てた阿闍羅千坊の一つといわれます。建久2年、津軽へ来た唐の円智上人は三山坊が荒れ果てているのを見て、不動尊を古懸、大日尊を蔵館、当時小沢山と呼ばれていたこの地に聖観音を移して布教の根拠地としました。本尊は円仁大師の作といわれ、和徳城主だった小山内讃岐守の一族がいた小沢館の土中から発掘されたものといわれています。経緯は不明ですが、この像を得た小山内氏は寺を建てて納めましたが、為信に攻められて滅亡した後は森岡金吾信元の領地となりました。森岡も引き続き寺の維持に努めましたが、慶長5年8月、為信の腹心梶仁右衛門により国見峠で暗殺され寺は荒廃。その後、慶長18年に寛海上人が小沢村古館から坂元村に寺を移し、その寺も荒れ果てましたが、二代藩主信枚が領内鎮護のために元和5年に再興、寺号を救渡寺とし、別当を置いて藩の祈願所としました。寛永10年に三代藩主信義が寺領百石を寄進、現在の寺名に改め、承応3年に本堂を修築して寺領も150石に増やしています。藩政時代には津軽真言五山(百沢寺400石、最勝院300石、国上寺200石、橋雲寺100石)の一つでした。領内五山の制度は寛永3年に信枚が天海大僧正と相談して設けたものといわれています。


新しくなりました。
扁額もピッカピカ。

奉納馬(昭和39年旧5月7日)。

奉納馬前の狛犬一対(明治28年)。前はここにいなかった気がします。
稲荷堂。


熊野堂。

観音石像群。
本堂へ。


本堂。津軽三十三観音一番札所(寛延年間)、津軽真言五山、民間信仰オシラ講本山、円山応挙幽霊画所蔵(森岡金吾の五代後の子孫、森岡主膳元徳奉納。モデルはその娘であり、応挙の妻となったといわれます。近年まで雨乞いのために使用されました。年1回旧暦5月18日開帳)。
2020年が33年に1度のご本尊聖観音菩薩像ご開帳の年でしたが、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、2021年4月19日~8月21日に延期されました。ちなみに33年に1度ですが前回は諸事情でご開帳はされず、特別開帳としての記録が残る1972年以来、49年ぶりのご開帳とのことです。
秘仏本尊のため撮影は禁止です。是非現地へ足をお運びください。私が行った時は比較的人が少なかったので、詳しい説明を聞きながらじっくりと拝むことができました。
ご本尊以外にも色々と拝見できました。貴重な棟札や有名なオシラさま(王志羅講)も間近で見ることができます。
オシラさまは、故高坂清観先々代住職(31世)が蒙古でラマ教を学び、これにヒントを得て土着の神である王志羅さまと結びつけ、明治の中頃から始めたそうです。毎年5月15日の前夜祭と16日の大祭では、信者が夫婦和合の神オシラさまを拝んでもらうために県内外から集まります。イタコの口寄せも行われ、夜を徹して祭事を行うそうです。
※オシラさまは関東・東北、青森県では各地に存在し、共通性はありますが地域差も大きいです。共通性としては①生産の神(養蚕神)、②桑の木で御神体を作る(主に紫桑の木)、③男女一対、④粗末にするとたたる、⑤入手した経緯は「授かる」「飛んできた」、⑥おしら祭文という物語(3種ほど)。いつ頃からあったかは不明ですが久渡寺のおしら講は大正初期に始まっています。
※オシラさまは関東・東北、青森県では各地に存在し、共通性はありますが地域差も大きいです。共通性としては①生産の神(養蚕神)、②桑の木で御神体を作る(主に紫桑の木)、③男女一対、④粗末にするとたたる、⑤入手した経緯は「授かる」「飛んできた」、⑥おしら祭文という物語(3種ほど)。いつ頃からあったかは不明ですが久渡寺のおしら講は大正初期に始まっています。
以前、聖観音堂向拝にあった絵心経。
大下駄、曼荼羅。
四国八十八箇所霊場のお砂踏み巡礼。
GOMAさんが描いた聖観世音菩薩。
そして最後に大好きな子供の森売店の中華そば!行けば絶対食べます。

ご開帳期間2021年4月19日~8月21日、8:30~17:00(最終入場16:30)※毎週日曜は護摩祈祷日のため拝観休止。新型コロナウイルスの状況等により人数制限、日程変更となる場合あり。8月13日~15日、観音堂にて円山応挙「反魂香之図」(幽霊画)特別公開されます。その他8月21日は灯籠供養会等のイベント予定。



コメント
コメント一覧 (1)
「意識と本質 ー精神的東洋を索めてー」井筒俊彦著の[セフィーロートマンダラに通じるモノが在りそうだ・・・
yuki
が
しました