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山形県飽海郡遊佐町吉出懐ノ内地内。遊佐駅から鳥海山方面(東方)に向かって県道60号を進みます。ニノ滝渓谷へ向かう途中にあります。
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案内板「胴腹滝-自然と人がつくった湧水の滝」より…『鳥海山は約60万年にわたって活動を続けてきた活火山です。その間、何度も噴火を繰り返し、ときに山体が大きく崩れることもありました。鳥海山には、火口から流れ出た溶岩がつくり出した地形が広い範囲にみられます。溶岩は巨大な岩のかたまりのように見えますが、じつは溶岩の内部には、たくさんの割れ目があります。また、溶岩は空気や地面に冷やされながら流れるため、その表面や底面には大小の岩がたくさんつくられ、ガサガサしてたくさんの隙間ができています。鳥海山に降った雨や雪解け水の多くは、このような隙間や割れ目などに浸透し、長い年月をかけて、湧き水となって地上に現れます。鳥海山の湧き水の多くが溶岩の末端部に見られることは、溶岩と湧き水の密接な関係を示しています。鳥海山南東麓、標高約230mに位置するここ胴腹滝もそのひとつで、周囲の溶岩は今から約10万年前に山頂付近から流れ出たものです。胴腹滝の湧き水は、水汲みに訪れる人が絶えない人気の名水です。胴腹滝をよく見ると、山の斜面から湧き水が滝のように流れ出していることがわかります。「胴腹」の名称も、まるで身体の胴部から湧き水が流れ出ているような様に由来しています。ここは、明治時代には修験者の行場とされた場所で、地域の方々によって、胴腹滝の水が苔むした岩の間を流れるように整地され、大切に保全されてきました。そして今もなお、地域の方々の信仰に支えられた美しい風景が息づいています。』
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鳥海山の主な湧水。
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冷えた固まった溶岩。
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胴腹滝周辺の地形。
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遊佐町HPより…『町中のいたるところに湧水が湧き出る遊佐町ですが、その中でも地域住民のみならず、遠方からもおいしい水を求めて、人々が集う場所がこの胴腹滝(どうはらたき)です。週末には、大きなタンクやペットボトルを抱えたたくさんの人々が集まり、その人の列は、平日でも、真冬でも途切れることはありません。「胴腹滝」という変わった名前の由来は、鳥海山の伏流水が山腹から湧き出している様子を、身体の「どうっぱら」から湧き出しているという例えで名づけられました。また、このことから、安産の神としてもあがめられております。この滝は、道路から歩いて5分足らずの場所にあります。杉林の中に小さな杜があり、その杜を挟んで二つの滝があります。左の滝は冷たくコーヒーに合うと、右の滝はまろやかな清水で日本茶に合うと言われ、通の人々は飲み分けて利用している様子です。遊佐町に訪れたら必ず飲んでみたい湧水です。この滝は、道路から歩いて5分足らずの場所にあります。杉林の中に小さな杜があり、その杜を挟んで二つの滝があります。左の滝は冷たくコーヒーに合うと、右の滝はまろやかな清水で日本茶に合うと言われ、通の人々は飲み分けて利用している様子です。遊佐町に訪れたら必ず飲んでみたい湧水です。胴腹滝は、山形県里山環境保全地域第1号に指定されました。里山は、日々の暮らしの中で、人々が自然に働きかけ、手を加えながらも、自然との調和を保ってきた空間です。つまり里山は、持続可能な社会の優れたモデルなのです。水が断崖から勢いよく湧き出し滝となる胴腹滝の景観は、沢水が断崖から流れ落ちる一般の滝とは異なり、自然現象としても価値ある滝です。胴腹滝周辺の湧水は、横堰によって集められ、さらに小水路に導かれ、集落の生活用水となり、田畑の灌漑用水となりました。胴腹滝の豊かで良質な水は下流域の人々の暮らしを支え、信仰の対象ともなってきました。人々の心のよりどころとして、かけがえのない恵みをもたらすこの地域は、これからの世代に継ぐべき大切な財産です。胴腹滝の清水は、滅菌消毒もされていない天然の水です。十分気をつけて飲用ください。』
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パンフレットより…『水汲み人気スポット。名前の通り、鳥海山の伏流水が山腹から湧き出ています。安産の神としてあがめられています。杉林の中に小さな社があり、社をはさんで二つの滝があります。左の滝は冷たく、右の滝はまろやかな清水と言われています。カルシウム・マグネシウムの硬度が低く、くせがない。コーヒーや、この水でご飯を炊くとおいしい。』
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鳥居。
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額束には「不動尊」とあります。
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里の名水・やまがた百選「胴腹滝」…『水環境を大切にし、地域に育まれた優れた湧水を「里の名水・やまがた百選」として選定したものです。飲用は、自己の責任でお願いします。』
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神の瀧のおいしい水…『遥か神代よりこの地に恵みをもたらしてきた鳥海山には、鳥海山大物忌神と月山神両神の不思議で魅力的な伝説が多く伝えられています。ここ胴腹瀧の水の神秘もその一つです。鳥海山は日本有数の高山でありながら、岳人に水筒要らずと言われるほど水質の良い泉や流れの豊富な山です。その八合目を源とし、岩中の間隙を幾日も辿りながらなぜか源泉の冷たさをそのままに、優れたミネラルバランスの水が此処に流れ出し続けているのです。子安大聖の謂れの通り、人の身体に自然に吸収されるこの瀧水は自然本来の水の味と香り、そして心の潤いを思い出させてくれます。』
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到着。道路からもかなり近いです。
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胴腹滝。
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落差約3m。潜流瀑。
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ちなみに私は飲みませんでしたが、水を汲みに来る人はたくさんいました。
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胴腹滝の水…『カルシウム、マグネシウム等の硬度が11mg/リットルと低く、淡白で癖がない。蒸発残留物が40-50mg/リットルと少なく、不純物を含まない極めて良好な水といえる。最低水温・最高水温の範囲は、融雪期の最低水温7.9度、夏季の最高水温9.1度と年間を通じて低く、変動幅が非常に小さい。このことから、胴腹滝の集水域がかなり高い標高、広い範囲におよぶものと考えられる。胴腹滝の標高からすると地下水温は、11.4度と推定されるが、実際は平均8.5度前後である。胴腹滝の湧水が各標高にて万遍なくほぼ同水量が得られるものとすれば、この温度差、湧水量と降水量、それに胴腹滝地点の恒温に至るまでの時間から推定すると、標高1680m地点までがその集水域と考えられる。(胴腹滝周辺調査報告書より)』
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17.4
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苔がいい感じです。
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ってことでしばし苔観察。
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お花がありました。
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周囲には苔生した石がたくさんあります。
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その石に混じって石仏もあります。
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水飲み場(水汲み場)。
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イヌガヤ科ハイイヌガヤ。
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胴腹瀧不動堂。
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堂宇。後方両脇に滝。
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堂宇内。
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案内板「胴腹瀧不動堂」より…『開創:年代不詳。御本尊:子安大聖不動明王。酉年生:守り御本尊。御縁日:28日。古記録によると、安永年中今から約210年前に一堂宇あり、行者宝雲海は朝日村七五三掛の注連寺での修業後、遊佐に帰依しこの地で更に修業す。その子法寿(20歳の頃)、京都三宝院で修業、帰国後朽損の堂を再建、法寿の造られた御真影版木には「そもそも胴腹瀧と申す奉るは人の身躰一切を守り賜う故を以って胴腹瀧と奉り唱うなり、この瀧は安置奉るは往古より子安大聖不動明王として胴より始めて腹部の守護するなり」と刻まれている。この胴腹瀧不動堂は、代々、八日町の住人高橋嘉之助家(真言宗三宝院醍醐派石宝院)が守り現在にいたる。』
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