1
青森県八戸市田面木神明沢。国道104号線沿い(国道104号線と八戸三沢線の交差点・田面木交差点)。田面木神明宮の西、八戸市立田面木公民館の東。八戸市立田面木公民館に車を置かせてもらいました。
2
私の地図では「田面木堤」とありましたが、昔から在家堤と呼ぶようです。そのいわれについては諸説ありますが、昔この堤のある付近が在家と呼ばれていたそうです。
3
田面木の呪われた土地「呪い田」(呪いの田の祠)を探しに行ったのですが、墓石や小祠等は見当たらず、結局場所がよくわかりませんでした。一応、情報提供を期待して「呪い田」についてここで簡単に説明しておきます。呪い田は田面木堤の道、南東へ約300mの外久保に二反歩余。近くに柳の大木が1本生えており、草地と水田に利用されています。水田の近くの茂みに墓地があり、元禄13年9月15日に建てられた墓石があります。その墓石に殺された男かは不明ですが、戒名「西霊大信士不生位」と刻まれています。この墓石は首の病気に御利益があり、お参りする人もいるといいます。墓地の真ん中には稲泥棒が牛追いの鞭に使用した柳の小枝を逆さに土に刺したものが、今では大木となって存在し、「逆さ柳」と呼ばれています。
4
田面木の呪い田…『むかし、田面木に座頭(盲人)が住んでいた。旧暦8月14日の夜は櫛引八幡宮のお祭りで、村では家族全員が出掛けた。ある年、座頭の家族みんなでお祭りに出掛けた留守中に、二反歩の稲がゴッソリ刈られ盗まれた。最初は八幡さまが刈り取って持って行ったぐらいに思っていた。ところが同じことが2~3年も続き、さすがの座頭も腹を立て、お参りをやめ、茂みの中に隠れて様子を見ることにした。日がトップリ暮れ、しばらく待つほどに何者かの気配がした。やがて、ザクザクと稲を刈り取る音が、だんだん近づいてきた。息を殺した座頭は、頃合いを見計らって、かねて用意していた鎌で、「エイッ」と闇の中へ切り付けた。「グワッ」と確かな手応えがあった。「してやったり」と座頭は手探りで、獲物にさわってみて驚いた。それは人間であった。首が胴体から離れ、首を持ち上げると「ドクドク」と血が流れた。座頭は生首を持って呆然と立ちすくんだ。また何かの気配がした。「誰かいるのか」と声をかけたが、返事がない。突然、「モウー」と鳴いた。殺された男は、牛を牽いて稲を盗みに来ていたのである。座頭は仕方がなく、生首を縄で牛の背にくくりつけ、柳の小枝で牛の尻にムチをあて「訳が分かったら家に帰れ」と追いやった。牛は山道の方へ登って行った。柳のムチは田圃に刺した。牛が着いた所は是川の天狗沢の家で、変わり果てた肉親の生首を取り囲んで大騒ぎとなった。たまたま、その一族にイタコがいて「いくらなんでもひど過ぎる」と、牛を先立ちにし、残っている胴体を探しに殺された所に来た。そこに生首とオシラサマを埋め、「七代七流れ祟れ」と呪いをかけた。その後、座頭の家では熱病に悩まされ、やがて、家族みんなが死に絶えてしまった。その後、水田は転々と人手に渡ったが、呪いはついて回り、地主になると病人が出たり気違いになったり、火事に遭い、仕事中に鎌でケガをしたり、馬に蹴られる等、不幸が続き、売りに出されたが、誰一人この水田を買うものもなく、何代目かの地主がたまりかねて某寺院に寄付した。呪い田は昭和32年(1957)まで、某寺院の総代役員が交替で耕作したという。今は草地になっている。』※昔の写真では草地に一本の柳の木、そして上部に梵字を刻む墓石と石祠等が見えます。この記事に載せている写真はすべて在家堤と田面木公民館の写真です。
5
かなり話が逸れました。在家堤についてです。宝永7年、田面木在家堤の拡張願が藩の記録に残されています。この堤を境に上田面木と下田面木に分かれることを考えますと、集落の中でも重要視されていた場所と考えられます。
6
堤の中央には松の木を配した小さな島があり、太鼓橋で渡ることができますが、門が閉まっていました。
7
ってことで島にある石碑が何なのかは確認できず。
8
鳥居(平成22年7月8日建立)。
9
石祠。田島明神とありました。下調べでは稲荷様が祀られているとのことでした。在家堤は田面木集落の下の田への潅漑用水が貯められ、秋の取り入れが終われば涸らし、春になると貯えましたが、その時に神酒をあげて「紙より」を入れ、その沈み具合で稲の豊凶を占っていたそうです。
10
田島明神の由緒はわかりませんが、在家堤は元々田んぼに水を引くための調整池であるため、江戸時代の頃より何度も工事が行われてきたそうです。現在は田んぼに水を引くという役割を終えましたが、春には青空を背景に松の緑と桜が水面に映りこむ姿は格別で、昭和63年に八戸市景観賞を受賞、更に平成4年に八戸観光協会の八戸百景に選べれており、この美しい景観を守るため、田面木地区連合町内会が中心となって太鼓橋の補修、島の草刈り、桜や雑木の剪定、竜が水を吐き出すポンプの管理など、環境整備を行っています。かつてはカルガモ親子の姿も見ることができましたが、最近はカラスの影響であまり見られなくなったようです。
11
勢いよく水を吐き出す竜。
12
「田面木ため池の水質浄化のためにEM活性液を放流しています。」
13
こちらは付近にあった開田記念之碑(昭和34年11月28日・青森県知事山崎岩男書)です。
14
にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 東北情報へ