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青森県上北郡六ヶ所村泊川原。泊集落南方の入口付近、明神川河口の右岸に鎮座。泊郵便局のほぼ向かい。「スナック諏訪」の真向かいです。かつての泊村で、地内には泊湊があり、早くは寛永21年に北郡八ケ所の浦の1つとして泊湊があげられています。藩領内で重要視された湊の1つ。年貢として檜山運上金を七戸代官所に納めました。慶安4年中山崎に船の遠見御番所が設けられ、同6年の藩庁記録には「東六ケ所泊村」と記されています。寛文~延宝年間まで当村と尾駮村の檜山運上請負人は、当村の肝入弥右衛門と越前新保の上野平兵衛でした。宝暦年間、泊山を貴宝山と呼んで当地方の信仰の対象としたのは、伊勢国の回船問屋佐藤荘兵衛憲次で、法号を広真と称し、真言の徒として山を開き、修験者の修行の場としました。天明8年幕府の巡見使一行が当地に上陸して平沼村へと向かいました。この幕府の巡見使に随行した古川古松軒は「東遊雑記」に当村の様子を書いています。また、寛政5年当地を旅している菅江真澄は当地のことを「けふいくか雪のふる河埋れてたつとも波のいや氷るらん」(おぶちの牧)と詠んでいます。文化11年には伊能忠敬が測量のため平沼海岸より当村まで歩いて種市家に宿泊。同家は江戸初期に安芸国より海運商として当村に来住し、天保6年「南部藩御国中分限者番付」では前頭24枚目に同家の忠四郎の名が記載されています。この頃の肝入は七朗左衛門。安政3年には中山崎に砲台が建設されました。諏訪神社は延暦21年信濃の国の諏訪大明神の分社として豊漁を祈願して建立されたと伝えられ、御神体は建御名方神。また、天正11年浄土宗東海山善限院大乗寺が盛岡の大泉寺の末寺として開創。
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社号標「郷社諏訪神社」(発起泊機関士組合。社掌逸見良次。昭和8年6月)。
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狛犬一対(平成3年7月吉日)。
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手水舎。
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石灯篭三対(手前から平成6年7月吉日・昭和53年6月18日・大正14年1月吉日)。
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諏訪神社は泊集落の産土様。拝殿は昭和52年7月21日新築。旧社殿は現在の社務所です。なお、この旧社殿がこの地い遷座する以前は、裏山の中腹に鎮座しており、「舊御社殿跡地」と刻まれた石碑が平成元年に建立されています。裏面碑文には「当諏訪神社の御社殿は大正の頃まで此処に建てられ村内の子等の学習所としても使われていた。然しそれらを知る者も既に少ない。因て此の碑を建て後の代に残すものである。平成元年7月18日」とあります。
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泊の村人たちは明神川を越えれば諏訪神社の神域としていました。明神川は昔飲料水として使ったり、若水汲みの場でもありました。明神川はどんなに日照りでも枯れることは無かったといいます。また、現在の国道沿いまで波打ち際となっており、明神川の河口は伝染病患者の遺体を葬った場所でもあったといいます。地元で明神様といえば諏訪神社のことを指し、明神川もその穢れを浄める川として信じられてきました。
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御祭神は建御名方神。信濃国(長野県)出身の高嶋堅吾が、海上安全・豊作祈願のため、郷里諏訪湖畔の諏訪大明神を延暦21年に勧請したのが始まりといいます。諏訪神社に合祀している神として高さ約60cmの一対の木製狐像の稲荷様があります。また、男女の神様として厄払いの人々が拝む石棒の金精様や鉄製馬像を祀る蒼前様がそれぞれ安置されています。「新撰陸奥国誌」によりますと、相殿として稲荷神・事比羅神(御祭神崇徳天皇)があります。神社庁によりますと上記と同様に、末社として、稲荷社・蒼前社・金勢社があるとのことです。大正元年に社殿が山の麓に遷座。明治6年郷社に列し、大正5年7月に神饌幣帛料供進の神社に指定。
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社殿内には泊神楽舞の獅子頭が納められ、幣殿にはインキョ様(隠居様)と呼ばれる古い真紅の獅子頭を安置。4月18日の春祭り、7月18日の例大祭、10月18日の秋祭り、12月18日の年越し祭、2月1日の厄払いの際にアソバせます。例大祭は同地区の貴宝山神社と合同で行います。元は旧暦6月18-20日にあたる7月下旬から8月上旬の3日間行われていましたが、夏イカ漁の最盛期と重なるため、昭和54年より今日のように改められました。7月18日は諏訪神社、20日は貴宝山神社の御神輿を中心に行列が練り歩きます。19日は漁港の市場に祭壇が設けられて、海上安全・大漁祈願祭が催されます。
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拝殿向拝蟇股・木鼻。
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拝殿前狛犬一対。
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拝殿前の根性のある御神木。
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舊御社殿跡地前の池。舊御社殿跡地や末社等はお祭りの準備、電球の配線などの関係で寄りませんでした。
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社務所。上記のとおり、旧社殿が使用されています。
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古札納所。
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不動明王と石祠。
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比較的新しいもののように感じます。
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忠魂碑(第八師團長侯爵前田利為)。
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