
岩手県二戸郡一戸町一戸大沢。盛岡藩領。享保20年より福岡通に属します。邦内郷村志によりますと神社は八幡社・神明社・稲荷社、寺院に曹洞宗広全寺・浄土宗実相寺・黄檗宗吉王寺が見えます。

南無阿弥陀佛。


山門前の石塔。「不許五辛酥肉入門」「庚申塔(文政10年正月吉日)」。

こちらは墓碑・庚申供養塔。廃仏毀釈の絡みか中央の仏像は首なし。

六地蔵。

山門。

さて、実相寺のイチョウという看板がやたらと目についたので急遽やって来ました。もちろん季節外れとわかっていながら。

諸法山願海院実相寺。浄土宗。御本尊阿弥陀如来。京都知恩院末寺。

本堂は近代的な造りです。

金田一の願海院の開祖円忍僧都は、保元・平治の戦乱を逃れ、御本尊の阿弥陀如来を奉持して、都から奥州に移り住み、金田一にて草庵を結びます。明応2年良満上人が京都知恩院から下向。荒れ果てた願海庵を見て悲しみ寺院再建(知恩院末寺願海院実相寺)。

天文11年鉄残上人時代に一戸氏の深い帰依により一戸に遷座しようとするも九戸氏の反対により二戸の村松に留まり日高山村松院実相寺建立(金田一村実相庵の寺地が願海院旧跡。一戸に移って寺号も実相寺と改めたとも)。天正2年に一戸氏の助力もあり現在地へ移転。

手水石。

鐘楼。

こちらも近代的。

梵鐘。

鐘楼前に国指定天然記念物実相寺の公孫樹標柱。

裏面碑文「文部省指定年月日昭和13年12月14日・建設年月日平成2年12月14日・一戸町教育委員会」

実相寺のイチョウ。

季節外れとはいえ、さほど大きく感じないですね。どうやらこのイチョウは樹高や樹齢的な理由から国指定天然記念物となっているわけではないようです(下記案内板参照)。


境内には一戸保育所があります。


実相寺の公孫樹(いちょう)…『国指定天然記念物。指定年月日昭和13年12月14日。所在地一戸町一戸字大沢。所有者小山内徹静。イチョウの祖先は、古生代の2億9千万年前頃から世界中に茂っていた植物で、日本では中世代の地層(約2億2千万年前)からその化石がたくさん発見されています。長い年月の間には絶滅しかかったのですが、東アジア(中国)の一角に生き残っていたものから人為的に裁植され、現在まで続いているといわれます。ここ実相寺のイチョウは、樹齢約280年・樹高約25メートル、目通り周囲3.3メートルで、イチョウとしてはそれほど巨木ではありません。しかし、雄株でありながら小枝の一部に雌花がつき、毎年ブドウ房状の実を結ぶ貴重なイチョウとして、国の天然記念物に指定されました。イチョウの雌株が少ないことから、実をとる目的でつぎ木をすることもありますが、実相寺のイチョウは、つぎ木をしていないのに雄株の一部に実が着くという珍しい木です。現在、クローンで増殖(根付け)された3本が元気に生育しています。平成14年3月29日一戸町教育委員会』

やたらと目についたイチョウの看板につられ、急遽訪れたため偶然ではありますが…

糠部三十三観音第32番札所です。


聖観世音菩薩を安置。子安地蔵尊の文字も見えます。

かつては多くの観音巡礼の参詣で門前は大変賑っていたそうです。

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