※この物語は半フィクションです。
※過去の写真を混合させて利用しており、鬼コで遊んでいるわけではございません。マネしないように。
※写真は加工・合成して用いているものが一部あります。
【過去の記事】
※過去の写真を混合させて利用しており、鬼コで遊んでいるわけではございません。マネしないように。
※写真は加工・合成して用いているものが一部あります。
【過去の記事】

稲垣村の二柱神社に一人の鬼コが住んでおりました。その名もガッキー。

ガッキーは雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち、決して怒らず、いつも静かに村人を見守っていました。

酷い干ばつに見舞われし年は村人の祈りのままに雨を降らせ、酷い洪水に見舞われし年は体を張って田畑を守ってきたのです。

2011年4月。長く厳しい冬が過ぎ、ようやく春がやってきました。ガッキーはさっそく村の様子を伺うためにこっそりと鳥居を降りました。

「今年もいい稲が獲れますように!リーテラトバリタウルスアリアロスバルネトリールイナガッキー!」

お祈りを済ませて二柱神社の境内へ戻るガッキー。

しかし体力が消耗し、なかなか鳥居へと上れません。


「もう年だなぁ…鳥居に上がることすらままならない!

噂では常海橋八幡宮の常ちゃんも…

五所川原市高おかみ神社の神山さんも…

金木町嘉瀬八幡宮の萩元さんも…

みんな既に代替わりして今は静かに隠居生活をおくっているというではないか。中泊町豊島熊野宮の豊本さんも引退して拝殿の軒下でゆっくりと休んでいるらしい。」

同世代の仲間たちの近況を耳にするたび、ガッキーの頭に「引退」の二文字が過ぎります。

「いやいや!柏のお絹さんはお顔を失っても持ち前のお尻を駆使して大活躍されている!


鶴田町境の高田さんも顔なしで頑張っておられると聞く。おいらもまだまだ頑張るぞ!」

自らを奮い立たせたガッキー。

ようやく鳥居の貫に辿り着きました。

そして額束へ向かおうとしたその時っ!!

軽いめまいを起こしたガッキー。

その拍子で注連縄につまずき鳥居から落下したのです。

「あぁぁぁぁ…」

落下した勢いで境内の片隅にまで転がってしまったガッキー。元々ボロボロだった体、もはや立ち上がる体力も気力も残っていませんでした。

「おいらには未だ後継ぎがいない。しかしもう限界のようだ。村の皆さん、本当に申し訳ないがき(涙)」
ガッキーは信仰深い村人たちへの恩返しができない悔しさに涙を流しました。

ある日の昼下がりのこと、二柱神社に一人の女性参拝者が現れました。

彼女の名はyuki。

yukiは拝殿にて参拝を済ますとおもむろにカメラを取り出し鳥居を調べ始めるやいなや…

「鬼コ様がいない!絶対この神社のはずなのに!」と言いながら拝殿内、そして境内を探し始めました。

「おいらはここにいるがき!!」
その様子を見ていたガッキーは渾身の力を込めて叫びましたがyukiの耳にまで届きません。
「こんな泥だらけの小さい体に気付くわけないか…(涙)」
yukiも結局あきらめて帰ろうしたその時…何かを発見しました!!
「あそこに光り輝く物は!?」
「あそこに光り輝く物は!?」

「うん?!」

「木?ゴミ?」

yukiは境内の隅にいたガッキーにゆっくりと近付き、そして泥だらけの体を持ち上げてジロジロと見始めました。

「鬼っ!鬼だっ!ゴミかと思った!なんでこんな所に!?かわいそう!!」

yukiはガッキーの体の泥土を綺麗に取り除き、鳥居につけようと試みました。しかしyukiの背丈では鳥居にはとても手が届きません。それに綱や杭など当然持ち合わせていないので取り付ける術もございません。

「ここに置いておけばきっと誰かが気付いて鳥居に戻してくれるだろう!」とyukiは言って、一番目立つ一の鳥居にガッキーを立て掛け、手を合わせた後に写真を数枚撮って帰っていきました。

あれから半年以上が過ぎました。

時には猫様が近付いてきて一緒に語り合いました。そんな日々を過ごしていると、あっという間にまた冬がやってきたのです。

この冬は例年にない豪雪となり、ボロボロのガッキーは村人の協力で拝殿入口の棚へと移動になりました。

一方、そんなことは露知らず、弘前に住んでいるyukiはあまりにひどい豪雪のために、鳥居に立て掛けてきたガッキーのことが心配で心配で仕方ありません。今年は4月半ばとなってもまだ雪が降っています。

誰かがブログに載せていないかな?とPCで調べていると、4月24日青森県庁のHPに鬼コ特集が掲載されました。それを見たyukiは唖然としました。そこには「鳥居に立てかけられた鬼コ」と紹介されており、雪の中にたたずむガッキーの写真が掲載されていたのです。
「この冬をあの鳥居の下で過ごしたというの!?」
yukiは自分が鳥居に立てかけてきたことにひどく心を痛め、すぐさま二柱神社へと向かいました。
「この冬をあの鳥居の下で過ごしたというの!?」
yukiは自分が鳥居に立てかけてきたことにひどく心を痛め、すぐさま二柱神社へと向かいました。

二柱神社の一の鳥居に駆け寄りましたがガッキーはいません。拝殿入口に移動になったことを知らないyukiはひどく焦り、境内の隅々まで探し回りました。当然ガッキーはいません。

涙を浮かべ拝殿へと向かうyuki…するとガッキーがいるではありませんか!

yukiはガッキーとの再会に歓喜し、手を合わせた後、ガッキーの頭を3回撫でました。

ガッキーの腰には紐がついていました。きっと一度は鳥居に戻されたのでしょうか。

それからというもの、yukiは休みの日にはガッキーに会いに行きました。
時には一緒にランチを楽しみました。yukiはきまって『鬼切り』とかいう食べ物をガッキーへ与えました。

時にはお酒も一緒に飲みました。


ガッキーにはぴったりの銘酒で、思わず飲み過ぎたようです。

yukiは毎回最後に頭を3回撫でていきます。

yuki曰く、ガッキーの頭を3回撫でると何やらハッピーな気持ちになって縁起がいいらしいですよ。

早く後継ぎが現れればいいね♪めでたしめでたし。

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